利息制限法・出資法は、貸金業者からお金の借入をする利用者を保護するために作られた法律です。
利用者が安心して消費者金融などを利用できるように、法律で高率な金利を取り締まるのが「利息制限法」、同じく金利を取り締まるのが「出資法」です。
利息制限法も出資法も利用者の味方である法律ですが、馴染みのないと理解できない点もあるかと思います。以下では、利息制限法と出資法について詳しく説明します。
目次
利息制限法とは
利息制限法とは、無茶な高金利を設定しないように国がその上限を定めた法律のことをいいます。上でも書いたように、利用者が安全にお金を借りられるように、利用者の保護を目的に作られました。
利息制限法の上限金利
利息制限法では、上限金利を年20%と定めているほか、借入金額に応じた上限金利も同様に定めています。仮に貸金業者が上限を超えた金利を要求した場合、その超過分は「無効」となるので借り主側は払う必要はありません。
利息制限法で定められた借入額(元本)と、金利の上限は次の通りです。
元金 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 20% |
10万円~100万円未満 | 18% |
100万円以上 | 15% |
遅延損害金の上限金利
キャッシングをして期日までに返済ができないと、「遅延損害金」が発生します。遅延損害金とは、借り主が返済に遅れた場合に発生する損害金のことを言います。
遅延損害金の上限金利は通常の金利の1.46倍までと決められています。ほとんどの消費者金融は年利15%~20%なので、法律上では最高29.2%まで設定が可能です。
元金 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 29.2% |
10万円~100万円未満 | 26.28% |
100万円以上 | 21.9% |
とはいえ、実際に遅延損害金を法律の上限金利で設定している会社はありません。大手消費者金融では、20%で設定している会社がほとんどです。
利息制限法に違反した場合
利息制限法に違反しても、刑罰や行政罰といった規定はありません。その一歩、出資法や貸金業法に違反した場合は、受けることになります。
しかし、現在では貸金業法が改正され、利息制限法に違反すると刑罰にはなりませんが、行政処分を受けることになります。
出資法とは
出資法とは、正式には「出資の受け入れ、預り金及び金利等の取り締まりに関する法律」をいいます。
この名称に表されてるように、出資法は不特定多数の人に対する元本保証の出資受け入れを禁じたり、特定金融機関以外の預り金業務を禁じる、お金の賃借を媒介する紹介を禁じる、など出資や融資に関する内容になっています。
金利に関する内容
出資法のうち「金利」に関係する部分が、キャッシングの利用者に大きく関わってきます。その内容を詳しく見ると次のようになります。
・金融業者は金利が年20%を超える契約をしてはけない
消費者金融など貸金業者が、融資をする場合の利息は年20%までと定められています
・金融業者以外は金利が年109.5%(※)を超える契約をしてはいけない
個人が家族や友人にお金を貸す場合の利息は年109.5%(※)までと定められています(※うるう年の場合は109.8%、いずれも1日辺り0.3%)
・貸付の際の礼金や手数料等はすべて利息とみなす
お金を貸す際に必要として受け取る礼金・割引金・手数料・調査料などの費用は、どのような名義であっても利息にみなされます。
出資法の上限金利の歴史
出資法は1954年に作られた古い法律になります。設立当初は、年利が109.5%までと、考えられないほど高い設定になっていました。そこから50年の間に何度か改正され、現在の20%まで上限金利が段階的に引き下げられました。
期間 | 上限金利 |
---|---|
1954年 | 109.5% |
1983年 | 73% |
1986年 | 54.75% |
1991年 | 40% |
2000年 | 29.2% |
2010年 | 20% |
出資法に違反した場合
貸金業者が出資法に違反して、上限金利を超える契約をしてきた場合、5年以下の懲役または1000万円以下の罰金を払うことになります。
あまりに酷い違反をした場合は、両方の罰則を受けることもあります。
利息制限法と出資法の関係について
貸金業者からお金を借りる際、これまでに説明した通り金利は法律で決められています。上で紹介した「利息制限法」と「出資法」の2つの法律が関係しています。
かつて、ほとんどの貸金業者は利息制限法の上限金利を守らずに、出資法の上限金利で貸し付けをしていました。2000年以降で見ると、利息制限法は15~20%、出資法は29.2%と上限金利の設定が異なっていました。
法的に曖昧な金利を「グレーゾーン金利」と言います。
グレーゾーン金利とは?
グレーゾーン金利とは、利息制限法が定める金利(15~20%)を超えているが、出資法の金利(29.2%)は超えていないため罰せられない金利のことです。
以前は、利息制限法と出資法の上限金利が違っていたため、ほとんどの消費者金融は20~29.2%の間で上限金利の設定をしていました。
これが「グレーゾーン金利」です。
グレーゾーン金利の撤廃と出資法の改正
グレーゾーン金利問題により、利用者が貸金業者を訴える裁判が増え続けたこともあり、最高裁でグレーゾーン金利が認められない判決が出ました。
最高裁の判決が出たことで、やっと金融庁も動き出し、2010年6月に出資法と貸金業法が改正がされました。改正によって出資法の上限金利も利息制限法と同じ20%にされました。
これによって、グレーゾーン金利は完全になくなりました。今では、利息制限法が定めた金利を超えてしまった分は違法であり、消費者金融は利用者に返還する義務があります。
- 利息制限法とは、無茶な高金利で貸付をしないように上限金利を一定に制限した法律のこと
- 利息制限法の上限金利は20%と決められていて、その上限を超える利息を要求した場合、無効になる
- 出資法とは、出資の受け入れや預り金など、金利等の取り締まりに関する法律のこと
- 出資法に違反した場合、5年以下の懲役または1000万円以下の罰金を支払うことになる
- 法律の改正前は、利息制限法と出資法の上限金利の設定が異なっていたため「グレーゾーン金利」という曖昧な金利が発生した
- 2010年6月に貸金業法が改正され、利息制限法と出資法の上限金利が同じ20%になった