給料ファクタリングとは?給与前払いサービスとの違いは?そのリスクは?

「給与前払いサービス」や「給料ファクタリング」という言葉を知っていますか?

どちらも給与を前もって受け取れるサービスで、利用したことがある人もいるかもしれません。


一見似ている2つのサービスですが、実は大きな違いがあります(片方は違法サービスです)。

今回は、給与前払いサービスと給料ファクタリングの違いや、給料ファクタリングのリスクについて、詳しく解説します。


FP 三原 由紀

この記事の監修者: FP 三原 由紀

ファイナンシャル・プランナー、保険や金融商品を売らない独立系FPとして活動中。行政でのセミナー講師、会社員世帯への家計相談、障害者の家族をサポートする相続相談などを行う。公式サイトはコチラ

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給料ファクタリングと給与前払いサービスの違いは?

給料ファクタリングって何?

給料ファクタリングとは

「給料ファクタリング」とは、将来の給料を事実上の担保にして、ファクタリング業者から現金を受け取るサービスです。


「ファクタリング」は、中小企業などが保有している売掛債権(=商品やサービスを提供したことにより、受け取れる代金を請求できる権利)を専門の業者が買い取るサービスのことを指します。

<関連記事>:ファクタリングとは?分かりやすく解説します


つまり将来得る予定の収益を、ファクタリング業者に買い取ってもらい、収益を得たら返すという仕組みです。

給料ファクタリングでは、買い取ってもらうのは売掛債権ではなく、次の給料となります。


給料ファクタリングを行う業者は、買取りに当たって手数料を受け取ることで収益を得ています。

また最近では業者の他にTwitterなどのSNSを通じ、個人間で給料ファクタリングが行われているケースもあります。

<関連記事>:個人間融資とは?そのリスクを分かりやすく解説

後で詳しく説明しますが、給料ファクタリングは法外な手数料を請求されることも多く、気軽に使えるサービスとは言えません

給与前払いサービスとは?

給与前払いサービスとは

「給与前払いサービス」とは言葉の通り、給料日前に給与を前払いしてもらうサービスを言います。

「給料の前借り」と言われてる仕組みは昔からあり、労働基準法にも明記され書かれています。


労働基準法25条では、非常時(出産、結婚、病気、災害等)について給料日前でも給料を支払うように定めています。

ただし、これは既に労働を行なった給料に対してであり、これから行う予定の労働に対しては認められていません。


給与前払いサービスは給料の前借りとは違い、企業が従業員向けに導入するサービスです。

福利厚生の一環として前払いサービスを導入することにより、求人応募数が増加したり、離職率が減るといったメリットが企業にもあります。


会社が前払いサービスを行うには、前払いサービスを提供している会社と提携する必要があります。

提携しているサービス会社によっては、Webやアプリを使って従業員で前払いの申請をすることが可能で、とても便利です。

どんな人が利用するの?

では給与前払いサービスや、給料ファクタリングはどのような人が利用するのでしょうか?

まず給与前払いサービスを利用するのは、勤め先が前払いサービスを導入していることが前提となります。


冠婚葬祭などの急な出費が重なり、前払い制度を使ったという口コミも見かけます。

一方、給料ファクタリングの利用者は、勤め先が前払いに対応しているかに関係なく、個人で業者から前借りを行います。


給与明細書などの書類が用意できれば、審査もほとんどなくお金を受け取れます。

また給料ファクタリングは、借り入れではないので信用情報機関に履歴が残りません。


信用情報機関に借り入れの履歴を残したくない人や過去に金融事故を起こした人が、給与ファクタリングを利用する傾向が高いです。

<関連記事>:【元銀行員が解説】金融事故情報(ブラックリスト)とは?

給与前払いサービスと給料ファクタリングの違いは?

給与前払いサービスと給料ファクタリングの違い

上でも見た通り給与前払いサービスは、勤務先の会社が提携会社と組んで提供する、合法のサービスです。

従業員のために福利厚生の一環として提供されていますが、結果的に会社にとっても従業員の定着率が上がるなどメリットがある、合法的なサービスです。


一方の給料ファクタリングは、将来手に入る給与を担保(債権)とし、ファクタリング業者から資金の提供を受けることです。

ですが労働基準法24条において給与は、労働者に直接支払うことが決められていて、債権の譲渡は認められていません。


つまり給料を債権として、ファクタリング業者に譲渡することは認められていないのです。

また労働基準法では、債権譲渡された第三者へ給与を支払うことは禁じられています。


以上から給料ファクタリングは、合法的なサービスとは言えません。

<外部の関連サイト>:労働基準法第24条│e-Gov


しかし大抵の場合ファクタリング業者が、支払いを勤務先に求めることはないため、給与を譲渡したことは勤務先に知られないケースが多いです。

また給与の債権の譲渡が表に出たとしても、罰則を受けるのはファクタリング業者ではなく、勤務先の企業側となります。


ただ給料ファクタリングは、労働基準法の罰則の対象ではないものの、特定商取引法の規制を受けます。

「契約書類がない」「手数料が大幅に追加された」といった取引をした場合、ファクタリング業者には罰則が科されます。


それにもかかわらず、契約書類なしで契約をしているファクタリング業者は多くあることから、法律を無視した業者が横行していることが分かります。

会社に知られることなく給料の前借りができるといった、イメージ先行で気軽に利用する人もいるかもしれません。


給料ファクタリングは、労働基準法や特定商取引法を無視した、危険なサービスであると言えます。


上で説明したように、給与前払いサービスと給料ファクタリングには、貸し手やサービスの安全性などに違いがあります。

2つの違いを下の表にまとめたので、参考にしてください。

給与前払いサービス 給料ファクタリング
貸し手 勤め先の会社(提携会社と組んで) ファクタリング業者
(場合によってヤミ金)
手数料 0円~数百円
または3%~6%
10%~20%
サービスの安全性 安全 グレー・違法
借り手 給与前払いサービスを導入している会社に勤めている人 金融事故を過去に起こしている人

ファクタリングには延滞金は発生しないので、万が一業者から延滞金を請求された場合は、違法な業者ということになります



給料ファクタリング、4つのリスクとは?

給料ファクタリングの4つのリスク

給料ファクタリングは違法であり、危険なサービスであることが分かりました。

ここからは給料ファクタリングのリスクについて、詳しく見ていきます。

リスク1:手数料が高い

給料ファクタリングでは、高い手数料を取られます。

手数料には上限がありません。


なぜなら借入金利とは異なり、法律での規制がないからです

「法の抜け穴をついた悪質なもの」として、社会的に問題になっています。


給料ファクタリングの手数料の相場は、10%~20%です。

たとえば1か月後に受け取れる給料が20万円とすると、手数料15%で業者に買い取ってもらう場合、17万円を受け取れます。


これを借入として置き換えてみると、17万円の借入をして1か月後の返済に20万円払うことになります。

年率換算にすると、金利182.5%で借入をしている計算になります。


利息制限法の上限金利は20%なので、これを大幅に超える金利帯となります。

日本ファクタリング業界(※)ではファクタリング被害110番を設置し、注意喚起しています。

(※):日本ファクタリング業界は、ファクタリング業界の自主規制機関

手数料を利息と捉えるならば、カードローンのキャッシングの方が、少ない負担でお金を得られます

リスク2:貸金業法の適用を受けない

給料ファクタリングは、金銭の貸し借りではなく、債権の売買とされています。

そのため利息制限法や出資法の規制を受けず、ファクタリング業者は貸金業者でもないため、貸金業法の適用も受けません。


貸金業者からの借入が、利息制限法を超えていた場合は、後から過払い金請求ができます。

一方のファクタリング業者は貸金業者でないため、払ってしまった手数料を取り戻すのは厳しいと言えます。


また貸金業者による取り立ては貸金業法で規制されていますが、ファクタリング業者はこの対象外で、取り立てを規制する法律がありません。


そもそもファクタリングはアメリカから入ってきた金融商品で、日本ではまだ法整備が追い付いていない状況です。

<関連記事>:貸金業法とは?元銀行員が分かりやすく解説!

リスク3:受け取れる金額に上限がある

給料ファクタリングでは、これから入る給料を事実上の担保とします。

そのため給料以上の金額を、受け取ることは不可能です。


また給料ファクタリングの対象となるのは基本給のみで、残業や休日出勤の手当て、ボーナスの現金化はできません。

まとまった金額が必要な時に、給料ファクタリングをするのは、将来得られる給料を減らすだけで、リスクが大きいと言えます。

<関連記事>:カードローンの上限の借入限度額は?

初回利用の場合は、少額しか受け取れないケースも多くあります

リスク4:取引相手はヤミ金業者

「ブラックでも融資可能」「他店で断られた人もOK」といった、甘い宣伝文句で勧誘してくる業者には注意しましょう。

取引相手が、ヤミ金業者である可能性が高いです。


2017年1月には、ファクタリングを装ったヤミ金業者が、全国で初めて逮捕されました。

<外部の関連サイト>:債権買い取り装い高利貸し 東京の2業者8人を逮捕 – 産経WEST


また日本ファクタリング業協会によると、給料ファクタリングに関する相談は増えていて、2019年10月からの約2ヶ月で200件ほどの相談があったそうです。

「契約書がない」「手数料が高い・追加される」「厳しい取り立てをされる」といった被害に遭った場合は、取引相手はヤミ金なので、弁護士や警察に相談してください。

<関連記事>:ソフト闇金とは?ヤミ金と何が違うの?



それでも給与を前借りしたい!利用する前に、知っておくべき注意点は?

給与ファクタリングは利用すべきでない!

給与ファクタリングは利用すべきでない

上でも書いたように、給料ファクタリングはリスクが多く、当サイトではオススメしません。

最近ではSNSを通して、ファクタリングの取引を持ちかけられ、ヤミ金業者に繋がる可能性もあります。


ヤミ金業者と取引をしてしまうと、個人情報を悪用され、他のヤミ金業者への貸し付けを誘導されるケースもあります。

ヤミ金業者は貸金業に未登録の違法な業者なので、絶対に関わらないことが自分の身を守ることになります。


仮にヤミ金でないファクタリング業者だったとしても、上で見た通り手数料(金利)が法外です。

自己破産などのリスクも、高くなると言わざるを得ません。


急ぎでお金が必要なら、消費者金融を利用した方がいいでしょう。

大手であれば金利は高くても18%です。


前述の給与ファクタリングの実質金利182.5%と比べると、1/10以下になります。

また消費者金融は、即日の借入も可能です。


それでも給与ファクタリング業者を利用なら、広告などの情報を鵜呑みにせず、ちゃんと実在している会社なのかは、必ず確認しましょう。

日本ファクタリング業協会のウェブサイトでは、実際の相談事例が掲載されています。


似たような事例がないか確認して、身を守ってください。

<関連記事>:即日融資ランキングを解説!どのカードローンが選べばよい?

一度前借りをすると、その後も繰り返してしまい、最悪破産に追い込まれるケースもあります

給与前払いサービスの利用は慎重に

給与前払いサービスの利用は慎重に

給与ファクタリングだけでなく、給与前払いサービスの利用も慎重に検討しましょう。

給料を前借りすることは、本来入ってくるはずの給料日に、お金を受け取れないということです。


給与前払いサービスという名称ではありますが、結局は借金と同じことです。

前借りした後で調子に乗ってお金を使っていたら、さらに金欠になる可能性もあります。

他にお金を確保できる方法はないか、もう一度考えてみることもオススメです。

<関連記事>:お金がないストレス!その恐ろしさとは?解消するための方法を解説

手数料の確認を行う

給料ファクタリングは危険と分かっていても、利用せざるを得ない状況もあるかもしれません。

勤務先の会社が給与前払いサービスを提供しておらず、過去5年以内に債務整理をしたなどで、カードローン会社が利用できない場合などです。


万が一、給料ファクタリングを使う時は、手数料の確認は怠らないようにしましょう。

被害相談の中には、金利(年率)として計算すると、600%もの手数料を支払っていた事例もあります。


一回の取引につき、(出資法の上限金利である)年率20%以内の手数料で設定している業者を、選ぶようにしてください。

<関連記事>:カードローン金利の仕組みを解説!利息の計算方法は?

手数料の他にも、延滞料金や遅延損害金が発生する業者と取引してはいけません

被害に遭ったら、弁護士や警察に相談

給料ファクタリングを利用し、法外な手数料を請求された、あるいは過剰な取り立てを受けた場合は、弁護士や警察に相談しましょう。

どこへ相談すれば良いか分からないときは、日本ファクタリング業協会に問い合わせをしましょう。

相談・苦情・紛争解決の受付窓口を開設しており、解決支援を行なっています。



また法テラスでも、適切な相談窓口を無料で紹介してもらえます。

法テラスは全国に110か所設置されているので、近くの事務所を探してみてください。

<関連記事>:ヤミ金で困ったら、どこに相談すれば良い?



以上、給料ファクタリングや給与前払いサービスについて紹介しました。

給与前払いサービスは会社が提供しており、安全なサービスと言えますが、給料ファクタリングは高い手数料を取られ、自己破産へ至る可能性も高いです。


一度給料ファクタリングを利用してしまうと、次の給料も前借りせざるを得ない状況になるでしょう。

給料を前借りする前に、他の方法でお金を調達できないか検討してみてください。

この記事のまとめ

  • 給料ファクタリングは、これから入る給料の債権をファクタリング業者に買い取ってもらい、給料日前に給料を現金化すること
  • 給与前払いサービスとは、企業が提供する福利厚生の一環で、勤め先とサービス会社を通して給料の前借りをすること
  • 給与前払いサービスは手数料も比較的安く、安全なサービスだが、給料ファクタリングは法外な手数料を取られることもある、危険なサービス
  • 給料ファクタリングは、貸金業法の適用を受けず、取引した業者がヤミ金であるリスクもある
  • 給料ファクタリングや給与前払いサービスの利用は慎重に検討し、被害に遭った場合は専門家に相談する

<監修者のコメント>
日常生活をしている中でも、お給料日前に想定外の出費がある人もいるかと思います。

そんな時にはまずは勤務先に、給与前払いサービスがないか確認してみましょう。

そして利用する時には必ず、利用金額に対する手数料を確認しておくことが重要です。

利息がかからないものの、手数料ベースで利息計算をしてみたら高かったということにもなりかねません。


もぐお

この記事の執筆者: もぐお

元銀行員で、このサイトの責任者です。難しい金融の情報を分かりやすくお伝えできるよう、頑張ります!
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