【元銀行員が解説】総量規制とは?その例外とは?

キャッシングやカードローンの利用をしていると、「総量規制」という言葉を目にすることが多いです。

何となく知っているけど良くは知らない、という人も多いでしょう。

今回は「キャッシングの総量規制」について、分かりやすく解説します


なお同じ総量規制という言葉でも、「不動産の総量規制」を指す場合があります。

不動産の総量規制については、「不動産・総量規制(ウィキペディア)」をご覧ください。



総量規制のきほんを解説します

ここでは大まかに、総量規制を説明します。

より詳しい中身は、「総量規制をもっと詳しく!」で解説します。

総量規制って何?

総量規制とは

総量規制とは、個人が返済に苦しむほど借入しないように、「個人の借入が年収の1/3までに制限される」仕組みを指します。

一言で言えば、個人の借り入れを抑える仕組みですね。

借入制限のほかに、収入証明書の義務もあります(詳しくは後で説明します)。

総量規制は「貸金業法」と呼ばれる法律の中で決められていて、2010年(平成22年)6月に施行されました。

総量規制の対象になる取引は?

上でも書いた通り、総量規制は個人の過剰借り入れを防ぐ仕組みです。

ですので、借主の対象は個人だけです(法人は対象外)。


また総量規制の元である貸金業法は、「貸金業者」を規制する法律です。

貸金業者とは、お金を貸す商売をやっていて、行政に登録している業者のことです。

分かりやすい例で言うと、消費者金融、クレジットカード会社、信販会社、リース会社などです。

つまり総量規制は、個人が貸金業者(消費者金融・クレジットカード会社など)からのキャッシングを規制する仕組み、という言い方もできます。

総量規制の詳しい中身は、後で解説します。

<関連記事>:貸金業法とは?分かりやすく解説!

総量規制の対象じゃないのは?

対象じゃない取引は沢山ありますが、ここでは3つに絞って紹介します。

1.銀行取引は対象外

総量規制(貸金業法)は貸金業者を取り締まる法律です。

一方、銀行を取り締まる法律は「銀行法」と呼ばれています。

つまり、銀行取引は総量規制の対象外です。

2.事業資金の借り入れは対象外

たとえ個人の借入であっても、借りるお金の目的が「事業資金」の場合、総量規制の対象外になります。

つまり生活費としての借入なら制限を受けますが、事業資金としての借り入れなら制限を受けません。

3.クレジットカードのショッピング枠は対象外

クレジットカードでのキャッシングであれば、対象になります。

ところがクレカでの買い物、つまりショッピング枠については総量規制の対象ではありません

あくまでキャッシング(お金の借入)だけが対象ってことですね。


上で挙げた以外にも、総量規制の対象にならない取引は沢山あります。

詳しくは、「総量規制の対象にならない取引って?」で紹介します。

総量規制って、なぜ導入されたの?

上でも書いた通り、総量規制の目的は「個人の借り過ぎ」を防ぐことです。

これが導入された背景にあるのが、増え続ける多重債務者の存在でした。

多重債務者とは複数の会社から、多額の借入がある人のことです。


多重債務者だからといって、ただちに生活が破たんする訳ではありませんが、その多くは利息の返済に苦しみ、返済が終わらない人もいます。

そのうち、債務整理や自己破産に追い込まれる人が増え続け、これが社会問題となっていました。

こうした多重債務者に対応するよう世論の厳しい声もあり、政府は2010年に総量規制の全面導入を決めました

<関連記事>:みなし弁済規定とは?分かりやすく解説!



総量規制をもっと詳しく!

総量規制の詳細

総量規制の目的は、個人の過剰な借り入れを防ぐこと、と上で説明しました。

では、具体的にどんなルールなのか以下で詳しく見ていきます。

1.「個人の借入」だけが対象

繰り返しになりますが、総量規制は個人の借入だけが規制の対象になります。

だから、それ以外は対象外になります。


たとえば、ある個人が友達の連帯保証人になったとしても、それは対象外です(だから、簡単に保証人になるものではありません!)。

また、クレジットカードのショッピング枠も対象外です。

クレジットカードで言えば、対象になるのは借入(キャッシング)の方だけです。

2.年収による借り入れ制限(年収の1/3まで)

貸金業者(消費者金融やクレカ会社など)から借りられるのは、最大でも年収の1/3までです。

1社からの借入が年収の1/3ではなく、貸金業者からの全部の借入を合計して、それが年収の1/3を超えてはいけないルールです。


年収600万円の人なら、キャッシングできる合計金額は200万円まで、ということですね。

借入制限のルールはこれだけ覚えておけば十分ですが、実はもう少し細かいルールもあります。

興味のある人は以下のコラム(コラム:借り入れ残高って何?)を読んでください(飛ばしてもらっても結構です)。

3.収入証明書の提出が必要(借入額によって)

総量規制では以下の場合、利用者が収入証明書を提出することを義務づけています

・1社からの借入希望額が50万円を超える場合

・複数の会社からの借り入れ合計額(希望額を含む)が100万円を超える場合



どちらかを満たしていれば、収入証明書の提出が必要です。

提出といっても原本を提出する訳ではなく、スマホで撮影して画像を送信すればOKです。


ところで「収入証明書」って具体的に何を指すのでしょうか?

会社によって微妙に違うのですが、以下のことを指すことがほとんどです。

・源泉徴収票
・確定申告書
・給与明細書(直近2ヶ月+1年分の賞与明細書)
・税額通知書
・所得証明書

どれか一点、最新のものを用意して下さい。

(コラム)借り入れ残高って何?

改めて借入制限のルールを書くと、以下です。

総量規制の借り入れ制限

年収を間違える人は少ないと思いますが、借入残高が実は分かりづらいです。

こんな例を考えてみましょう。

<例>
年収600万の人、消費者金融3社から、50万円ずつのカードローン枠(合計150万円)

でも、現時点での借入はゼロ

新たに、4社目の消費者金融に100万円の借入枠で申し込み

借入制限のルールはどうなる?


借入が50×3 + 100 = 250万円になって、200万円(年収600万の1/3)を超えちゃいますよね。

だから、借り入れ制限でアウト、と考える人も多いはずです。

でも実は総量規制のルール的にはOKなのです。

総量規制のルールでは、4社目の申し込み分は借入枠(極度枠)、他社分(1~3社目)については実際の借り入れ残高で計算する、とされています(法第13条第3項)。

<関連サイト>:貸金業法 – e-Gov法令検索


なので、4社目の申し込み分について法的にNG、とはなりません。

ただ実際問題として、他社3社で150万円の借入枠があるということは、いつでも150万円を借りられるということです。

いくら法律でOKでも、4社目の会社は100万の借り入れ枠を渋るはずです(審査に落ちる可能性もあります)。


すでに150万円の借入枠がある人がそれを使わず、別の会社に100万円の借入枠を申し込むのも、ちょっと現実的ではないですよね。

なので、この情報はマメ知識として頭の片隅に入れておいてもらえればと思います。



総量規制の対象にならない取引って?

総量規制の対象外

上では、総量規制の対象になる取引について説明しました。

ですが実は、対象にならない取引について知ると、総量規制についてより深く理解できます。

総量規制の対象外の取引って何?

上でも触れましたが、以下の2つは総量規制の対象外です。

・銀行との借入取引

・借り手が法人となる借入取引


銀行からの住宅ローン・カーローン・教育ローンなど、銀行取引に関連したローンは全部、総量規制の対象外です。


つまり、「貸金業者との個人の借入取引」が総量規制の対象になりますが、個人の取引であっても特別に対象外になる取引もあります

「総量規制の除外」と「総量規制の例外」です。一つずつ見ていきます。

「総量規制の除外」になる取引は?

「総量規制の除外」とは、これに含まれる取引は「総量規制の借入計算に含めない」という意味です。

以下は、「総量規制の除外」取引とされています。

・不動産購入または不動産に改良のための貸付け(そのためのつなぎ融資を含む)
・自動車購入時の自動車担保貸付け
・高額療養費の貸付け
・有価証券担保貸付け
・不動産担保貸付け
・売却予定不動産の売却代金により返済できる貸付け
・手形(融通手形を除く)の割引
・金融商品取引業者が行う500万円超の貸付け
・貸金業者を債権者とする金銭貸借契約の媒介
(施行規則第10条の21第1項各号)


上でいう「貸付け」は貸金業者から見た表現で、借り手から見たら「借り入れ」になります。

担保を伴う借入だったり、特別な金融取引が総量規制の適用外とされています。

「総量規制の例外」になる取引は?

「総量規制の例外」とは、「総量規制の借り入れ計算に含める」ものの、たとえ年収の1/3を超えていても(返済能力さえあれば)借入が認められる取引です。

以下が、「総量規制の例外」取引とされています。

・顧客に一方的有利となる借換え
・緊急の医療費の貸付け
・社会通念上緊急に必要と認められる費用を支払うための資金の貸付け
・配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付け
・個人事業者に対する貸付け
・預金取扱金融機関からの貸付けを受けるまでの「つなぎ資金」に係る貸付け
(施行規則第10条の23第1項各号)


この中でも、皆さんに関係のありそうな取引を、もう少しだけ詳しく解説します。

顧客に一方的有利となる借換え

たとえば、あなたが年収600万円で借入が5社から合計300万円あったとします。

5社とも取引してると面倒なので1社にまとめようと思っても、年収の1/3を超える借入なので、本来なら取引は認められません。


ですが仮に今まで各社で18%だった金利が、借り入れをまとめた先の1社にした場合、金利が15%になるとします。

借入額は変わってなくても、金利が低くなった分、あなたに有利な取引ですよね。


こういう場合、「総量規制の例外」として取引が認められています

なお、こういう取引を「借り換えローン」とか「おまとめローン」という呼び方をします。

配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付け

総量規制では、借入額を年収の1/3までとしています。

でも、専業主婦だと自身の収入がない(ゼロ)ため、借入ができませんよね。

そんな時に使えるかもしれないのが、この取引です。


たとえば旦那さんが年収600万円で、借入が50万円とします。

その時、専業主婦の奥さんはこの制度を使えば、最高150万円まで借りることができる、という制度です。


ただ、この制度には裏があります。

法律的には「配偶者貸付」は認められているのですが、実際に対応してくれる消費者金融はほとんどないのです。

法律では認められているものの、専業主婦のキャッシングは極めて難しいと思った方がよいでしょう。

<関連記事>:【元銀行員が解説】主婦のキャッシング!お金を借りる時の注意点

個人事業者に対する貸付け

上でも軽く触れましたが、個人事業主が「事業資金」として借りる場合、その取引は総量規制の適用外です。

一方で、借主が個人事業主であっても、「生活資金」の場合は総量規制の対象です。

ちなみに、こうした事業資金のためのローンは「ビジネスローン」と呼ばれ、カードローンとは別にサービスが用意されていることが多いです。



総量規制のQ&A,元銀行員がお答えします

総量規制に関する疑問

上で総量規制について詳しく見てきましたが、まだ分かりづらい点もあるかもしれません。

ありがちな疑問について、お答えします。

総量規制を破ったら、個人も罰則はあるの?

個人に罰則はありません。一方で、貸金業者の方には行政処分などの重い処分が課されます

なので、貸金業者が(総量規制の対象外の場合以外で)年収の1/3を超える貸し付けをしてくれる可能性はゼロと思った方がよいでしょう。

馬券で大穴をあてたけど、これも年収に認められる?

認められません。馬券に限らず、ギャンブルや宝くじによる収入は、総量規制の上では「年収」と認めていません

ちなみに、総量規制で「年収」にあたるとされるのは、以下です。

(1)給与
(2)年金
(3)恩給
(4)定期的に受領する不動産の賃貸収入(事業として行う場合を除く。)
(5)年間の事業所得(過去の事業所得の状況に照らして安定的と認められるものに限る。)

ヤミ金と総量規制の関係は?

全く関係ありません。というか、ヤミ金は「法律を守らない(届出もしてない)業者」のことです。

法律を守らないので、金利は法外に(もちろん違法)高いし、暴力・脅迫を伴う取り立てをします(これも違法)。

ヤミ金とは何があっても、絶対に取引しないでください

<関連記事>:【元銀行員が解説】消費者金融とは?サラ金・ヤミ金との違いは?

すでに、年収の1/3以上の借り入れがあるんだけど

総量規制の導入前の借入があり、年収の1/3以上の借り入れがある、という人もいるかもしれません。

上でも説明しましたが、年収制限を超える借入があっても別に個人への罰則はありません。

ただ、新規の借り入れは一切できませんので、その点はご注意ください。

クレジットカード、銀行からの借り入れも対象なの?

クレジットカード会社は貸金業者なので、クレジットカードのキャッシングは対象になります。

一方、クレジットカードでのショッピング枠(後払い)は対象外です。

また、銀行との一切の取引が総量規制の対象外になります。



以上、総量規制とその例外となる取引について見てきました。

この知識がないとキャッシングができない、ということはありませんが、参考になれば幸いです。

この記事のまとめ

  • 総量規制とは、個人の過剰な借入を抑えるための、貸金業法の中にある仕組み
  • 総量規制の対象になるのは、個人が貸金業者から借入をする取引
  • 総量規制で大事なのは、年収による借り入れ制限(1/3まで)と収入証明書の提出義務
  • 銀行取引や、法人が借り手となる取引は総量規制の対象外
  • 借り換えや配偶者貸付、事業資金の借り入れも総量規制の適用外

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