貸金業法とは?元銀行員が分かりやすく解説!

消費者金融で借り入れする時に、大きく関わってくる法律が「貸金業法」です。

聞いたことはあっても、その中身を詳しく理解している人は少ないでしょう。


この貸金業法は2006~2010年に大きな改正が行われ、利用者や貸金業界に大きな影響を与えました。

今回は貸金業法の中身や、改正した貸金業法(改正貸金業法)のポイントについて解説します。


FP 内山 貴博

この記事の監修者: FP 内山 貴博

内山FP総合事務所株式会社 代表取締役、CFP®、1級FP技能士。FP相談業務を中心に、マネーセミナーや執筆、金融機関研修、FPや証券外務員の資格対策講座などを担当。運営サイト


貸金業法ってどんな法律?

貸金業法とは

貸金業法とは?

貸金業法とは、利用者の保護を目的として、貸金業者への規制を定めた法律です。

1983年11月に「貸金業の規制等に関する法律」という名称で施行されましたが、後の改正に伴い2007年12月には、「貸金業法」へ改称されました(「改正貸金業法」という呼ばれ方もしますが、以下では「貸金業法」に呼び名を統一します)。


成立当時の貸金業法も、消費者の利益を保護する目的で制定されていましたが、利息制限法を超えた金利での貸し付けも認められるなど、多重債務者増加の原因であるとも言われていました。

それを受け貸金業法は、2006年から段階的に大幅な改正が行われ、2010年に完全施行されました。

<外部の関連サイト>:貸金業法 – e-Gov法令検索 – 電子政府の総合窓口(e-Gov)

2006年から2010年までの改正は、5段階に分けて施行されました

貸金業者とは?

貸金業法は、貸金業者を規制する法律です。

では貸金業者とは、どのような業者を指すのでしょうか?


貸金業者とは、財務局又は都道府県に登録をした上で、消費者にお金を貸す業務を行っている事業者のことで、「ノンバンク」と呼ばれる場合もあります。

具体的には、消費者金融や信販会社、クレジットカード会社などを指します。

貸金業法第2条1項
この法律において「貸金業」とは、金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつてする金銭の交付又は当該方法によつてする金銭の授受の媒介を含む。以下これらを総称して単に「貸付け」という。)で業として行うものをいう。


ただしクレジットカードについては、貸金業法の対象となるのはキャッシングのみで、ショッピング利用は対象外です。

また消費者にお金を貸している点で、銀行も貸金業法の規制を受けるように思われますが、銀行は銀行法の対象であり、貸金業法の対象外となっています。


貸金業者(=ノンバンク)と銀行は、規制を受ける法律の他にも、貸付金の調達方法といった点でも異なります。

貸金業者は主に、銀行からの借り入れによって資金調達を行います。


一方で銀行は、消費者の預金や銀行間の融資によって貸付金を確保します。

<関連記事>:ノンバンクとは?分かりやすく解説

貸金業法に違反した場合の罰則は?

貸金業法に違反してしまうと、貸金業者はどのような罰則を受けるのでしょうか?

貸金業法に違反すると、行政は貸金業者に対して、登録抹消や業務停止、業務改善命令といった行政処分を下すことができます。

貸金業法第24条6項
内閣総理大臣又は都道府県知事は、その登録を受けた貸金業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該貸金業者に対し登録を取り消し、又は一年以内の期間を定めて、その業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。


これに加えて、「不正に貸金業の登録を受けた」「無営業登録をした」「名義貸しをした」といった違反をすると(ヤミ金などの違法行為)、10年以下の懲役もしくは3,000万円以下の罰金またはその両方を科せられます。

またその他にも、取立行為の規制に違反した場合や、自殺による死亡を保険事故として、顧客と保険契約を結ぶ場合など、様々なケースが処罰の対象となります。


このように貸金業法に違反すると、貸金業者は処罰されますが、利用者が罰則を受けることはありません。

万が一、利用者が貸金業法に違反した契約をしても、借入金の一括返済をする必要はありません。

利用者が、貸金業法の規定を超える借り入れ(=年収の3分の1以上)をしても、それ以上の借り入れが不可能となるだけで、他に影響はありません

改正貸金業法、成立の背景は?

貸金業法は2006年以降、大幅に変更されましたが、なぜ法改正が行われたのでしょうか?

その理由は、借金の返済が困難となった多重債務者の増加に対処するためです。


貸金業法が改正される前は、今よりも高い金利(=年率29.2%)で貸し付けが行われていました。

また過度な貸し付けや借り入れが容易であったことも、多重債務者を増やす要因となっており、社会問題として認識されていました。


転機となったのは、2006年(平成18年)1月に最高裁判決で「みなし弁済」を、違法とする判決です。

これにより貸金業者は、より高い金利(=グレーゾーン金利)での貸し出しに対する法的根拠を失いました。


最高裁の判決以降、多重債務の問題に対処する声が一層高まり、これに背中を押される形で政府は貸金業法の改正に着手しました。

2006年12月から段階的に改正法が施行され、2010年6月に第五次施行でもって、改正貸金業法が完全施行されました。

<関連記事>:みなし弁済規定とは?分かりやすく解説!



改正貸金業法の5つのポイント

貸金業法は大きな改正を受け、今の形となったことが分かりました。

では改正貸金業法の、主なポイントは何でしょうか?

1.貸金業者に対する規制強化(貸金業の適正化)

改正された貸金業法によって、貸金業者に対する規制が強化されました。

規制強化のポイントは、主に3つです。

    ・貸金業へ参入する条件の厳格化
    ・行為規制(取り立て規制)の強化
    ・貸金業者に対する行政の監督が強化


以下で、それぞれ説明します。


<貸金業へ参入する条件の厳格化>
貸金業を営業するためには、貸金業登録が必要ですが、登録へのハードルが引き上げられました。

具体的には、

    ・最低純資産額を、5,000万円以上に引き上げ貸金業法第6条14項
    ・貸金業務取扱責任者の試験制度の導入と、その試験に合格した人を営業所ごとに一定数配置すること貸金業法第24条7項


という2つの項目が、新たに設けられました。


<行為規制(取り立て規制)の強化>
借主を保護するため、貸金業者が行う様々な行為に対し、規制が強化されました。

主に規制された行為は、以下です。

    ・執拗な取り立ての禁止
    ・借り入れ内容を説明する書面を交付することを、貸金業者に義務付けた
    ・借主の自殺による保険が支払われる契約締結の禁止



取り立てが規制されたことにより、1時間に何回も取り立ての電話が来ることは無くなりました。

<外部の関連サイト>:貸金業法第21条 取立行為の規制


<貸金業者に対する行政の監督が強化>
貸金業者に対する、行政処分が強化されました。

すでにあった登録取消や業務停止に加え、業務改善命令が導入されました。


これにより、以前は見過ごされていた事態に対して、運営改善に必要な対策をとるよう命じることが可能となりました。

貸金業の適正化により、貸金業者は営業登録時やその後に受ける規制が増えました

2.総量規制

「総量規制」とは、個人の借り過ぎを防ぐ規制のことです。

年収による借入制限が設けられ、借り入れできるのは年収の3分の1までとなりました。

貸金業法第13条2項
貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとする場合において、前条第一項の規定による調査により、当該貸付けの契約が個人過剰貸付契約その他顧客等の返済能力を超える貸付けの契約と認められるときは、当該貸付けの契約を締結してはならない。


たとえば年収が300万円の場合、貸金業者から借りられるのは合計で100万円となります。

総量規制による借り入れの上限金額

もし年収の3分の1程度の借り入れをすでにしていたら、新たに借り入れすることは不可能です。

<関連記事>:【元銀行員が解説】総量規制とは?その例外とは?

3.収入証明書などの提出の義務

貸金業法によって貸金業者は、利用者と契約をする際に、返済能力を調べることが義務付けられています。

そのため借入金額に応じて、借主に収入証明書を提出することを求めます。


一般的に、一つの貸金業者からの借り入れ希望が50万円を超える場合、またはほかの貸金業者と合わせて借入金額が100万円を超える場合は、収入証明書の提出が必要となります。

しかし審査内容によっては、上の金額に満たなくても、収入証明書の提出を求められるケースもあります。

<外部の関連サイト>:貸金業法13条3項│e-Gov

収入証明書にあたる書類は、源泉徴収書、給与明細書、確定申告書などです

4.上限金利の引き下げ(金利体系の適正化)

貸金業法の改正により、29.2%だった出資法の上限金利が、20%まで下げられました。

これを上回る金利での貸し出しをした業者は、出資法違反により刑事罰の対象になります。


また出資法の20%以下の金利であっても、利息制限法を上回る金利での貸し出しをした業者は、貸金業法による行政処分の対象となりました。

元金 利息制限法の上限金利
10万円未満 20%まで
10万円以上100万円未満 18%まで
100万円以上 15%まで


改正前は、利息制限法では違法ながらも、当時の出資法の上限金利である29.2%の範囲内である「グレーゾーン金利」での貸し付けが行われていました。

グレーゾーン金利が「適法」と認められていたのは、借主が納得の上で利息を払っているなら、利息制限法を超える利率でも有効とされたためです。


こうした規定を、「みなし弁済規定」と呼びます。

しかし上で見た通り、2006年の最高裁判決でみなし弁済は違法と判断され、改正貸金業法によって、みなし弁済が正式に撤廃されました。


これによりグレーゾーン金利は法律上だけでなく、制度上も廃止に追い込まれることになりました。

<関連記事>:グレーゾーン金利とは?分かりやすく解説

5.ヤミ金規制の強化

ヤミ金を撲滅するために、規制が強化されました。

ヤミ金は、財務局または都道府県への登録を行わずに営業をしていますが、無登録営業を行っている業者への罰則が強化され、10年以下の懲役もしくは3,000万円以下の罰金、またはこれら両方が科せられます。

貸金業法第47条
次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 不正の手段によつて第三条第一項の登録を受けた者
二 第十一条第一項の規定に違反した者
三 第十二条の規定に違反した者


以前は最高刑が懲役5年でしたが、懲役10年に引き上げられ、恐喝罪と同等以上になりました。

<関連記事>:ソフト闇金とは?ヤミ金と何が違うの?

ヤミ金自体、違法の業者です。絶対に利用しないでください



改正貸金業法により、どんな影響があった?

ここまで改正された貸金業法の、主なポイントについて見てきました。

では具体的に私たち利用者や貸金業者に、どのような影響があるのでしょうか?

1. 利息の負担が減った

消費者にとっての最大のメリットは、上限金利の引き下げでしょう。

グレーゾーン金利の撤廃により、同じ借入金額でも支払総額が減少します。


たとえば借入金額100万円を、40ヶ月で返済する場合のシミュレーションを、貸金業法の改正前と後で比べてみます。

改正前は出資法の上限金利の29.2%、改正後は15.0%の金利が適用されたとします。

金利(年率) 返済期間 毎月の返済金額 返済総額
29.2%(改正前) 40ヶ月 39,390円 1,575,586円
15.0%(改正後) 40ヶ月 31,921円 1,276,838円


このように金利が14.2%下がると、支払総額は約30万円少なくなることが分かります。

上限金利が下がり、支払の負担が大幅に軽減されたため、消費者は多重債務に陥る可能性が以前より低くなりました。


利用者からすると、上限金利の引き下げは大きなメリットですが、貸金業者からすると収益の悪化に繋がりました。

<関連記事>:カードローン金利の仕組みを解説!利息の計算方法は?

2. 過払い金請求が行われた

2006年1月に最高裁の判決では、利息制限法を超える今後の利息だけでなく、過去の利息についても無効とされました。

これにより、過去のグレーゾーン金利分の利息の返還請求が可能となり、貸金業者に対する過払い金請求が急増しました。


ただ過払い金請求には10年の時効があり、時効を過ぎると返還請求はできません。

また現在も借入のある貸金業者に対して過払い金を請求した場合、還付金は借入金と相殺(そうさい)されます。

<関連記事>:消費者金融の過払い金請求のデメリットは?

過払い金請求は、借金を返している途中に行うと、事故情報に登録されてしまうので注意しましょう

3. 借り入れのハードルが高くなった

貸金業法が改正されたことにより、利用者が気軽に借り入れ出来なくなりました。

借り過ぎを防ぐ総量規制により、どれだけお金に困っても、年収3分の1以上の借り入れは不可能です。


また高額な借入の場合、収入を証明する書類を提出するなど、借り手側の手間が増えました。

それだけでなく金利が下がったことにより、審査そのものが厳しくなりました。


貸金業者は返済能力を調査することが義務付けられており、本当に返済できる人にのみ融資をするようになったためです。

それにより消費者金融の利用者は減り、同時に貸金業者の数も大幅に減少しました。

消費者金融の貸付残高と業者数の推移
<出典>:貸金業者の経営実態等に関する調査結果報告│日本貸金業界

4. 貸金業者による業界再編が進んだ

改正貸金業法によって、貸金業者は大きなダメージを受けました。

金利が下がったことに加え、消費者金融の利用者も減り、上の表からも分かるように、収益は12年の間で約1/3に減少しました。


融資の条件が厳しくなり、特に中小の消費者金融は経営を維持できなくなりました。

また改正貸金業法の影響を受けたのは、中小の会社だけではありません。


大手の消費者金融も、生き残りのために銀行の傘下に入る会社が増えました。

大手消費者金融であるアコムやプロミス、SMBCモビットは銀行の傘下に入っています



以上、改正貸金業法のポイントを解説しました。

貸金業法の改正に伴い、利用者は以前より安心してキャッシングすることが可能になりました。


ですがお金を借りる上で貸金業法を理解しておくことは大切なので、しっかりと借り入れの知識をつけましょう。

この記事のまとめ

  • 貸金業法は1983年に公布されたが、その後2016年から大幅な改正が加えられ、今の形となった
  • 貸金業法は、貸金業者を取り締まる法律で、違反すると業者側にのみ罰則がある
  • 改正貸金業法によって、金利の引き下げや総量規制など、借入の規制が強化された
  • 貸金業法が改正されたことにより、利用者は以前より低金利での借り入れが可能となり、利用者の保護が進んだ
  • 改正貸金業法にはメリットがある一方、貸金業界は大ダメージを受け経営が厳しくなり、利用者も審査が厳格化され借りづらくなった

<監修者のコメント>
法整備が進んだことでお金が借りやすくなった側面と、その逆に総量規制など借りにくくなった面とそれぞれです。

お金が必要で借りることになるわけですが、仮に全額返済することができても、借りる要因になった問題が根本的に解決しなければ、またお金を借りることとなり、どんどん借金が膨らむことも想定されます。

例えばギャンブルが原因の場合で依存症の傾向にある人は福祉センターといった窓口に相談する、外来治療するといった行動を取ることが、結果として借金問題の解決につながります。

ギャンブルに限らず、お金を借りる場合は、「返済すれば良い。」ではなく、なぜ借りることになったのか?しっかり向き合ってください。


もぐお

この記事の執筆者: もぐお

元銀行員。難しいキャッシングの情報を分かりやすくお伝えできるよう、頑張ります!プロフィールはコチラ


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