善意の第三者とは?元銀行員が分かりやすく解説

「善意の第三者」と聞いて、どんな人を想像しますか?

善意という言葉から、「優しい人」というイメージを持った人もいるでしょうが、そういう意味ではありません。


善意の第三者は、金融取引でもよく使われる法律用語です。

今回は、善意の第三者の意味を、基本から分かりやすく解説します。


善意の第三者とは?キホンを解説します!

法律用語の「善意」とは

一般的に善意という言葉は、善良な心や他人を思う気持ちという意味で使われます。

しかし法律用語としての「善意」は、それとは全く意味が異なります。


法律用語における善意とは、「ある特定の事実を知らないこと」を意味します。

善意にあたるか判断する際、その人の人間性や心情など、一般的な意味での善意は関係ありません。

ある事柄を知っているか知らないか、それが善意の判断基準です。

一般的な意味とはだいぶ違いがありますが、少しずつ慣れていきましょう。

法律用語の「第三者」とは

法律用語の「第三者」とは、当事者以外の人という意味です。

例えばAさんとBさんが売買契約をしたなら、この2人が当事者、それ以外の人は第三者になります。

法律では特に、当事者以外で契約に関係する人を第三者と言います。

「善意の第三者」とは?具体的にどんな人?

善意の第三者とは

上の説明から、善意の第三者がどんな人か、おぼろげながら見えてきたと思います。

善意の第三者とは、「当事者間の特定の事情や行為を知らない第三者」のことです。

善意の第三者の特徴は、後ほど詳しく説明するとして、具体的にどんな人を指すのか見ていきます。


例えばAさんが、Bさんに宝石を預けていたとします。

ある時Bさんは、預かっていた宝石をCさんに売り渡してしまいました。

Cさんはその宝石がAさんの物だとは知らず、Bさんの物だと思っていました。


この場合はAさんとBさんが当事者で、あとから契約に関わってきたCさんが第三者です。

また宝石がAさんの物だという事実を知らなかったため、Cさんは「善意の第三者」と言えます。

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名前でも書いていない限り、Bさんの持っている物がAさんの物だとは分かりませんよね。

「悪意の第三者」もいる?

善意と反対の意味を持つのが「悪意」です。

法律用語としての悪意は、「ある特定の事実について知っていること」を意味します。


つまり悪意の第三者とは、ある特定の事実を知っている第三者、という意味です。

第三者が善意か悪意かによって、契約の効力や権利関係に違いが生じることがあります。

詳しくは、以下で説明します。



善意の第三者に対抗できるケース・できないケース

善意の第三者と一緒に使われることが多い法律用語が、「対抗できない」という言葉です。

「善意の第三者に対抗できない」、といった使い方をされます。

具体的にどういう意味なのか、以下で説明します。

「善意の第三者に対抗できない」とは?

「善意の第三者に対抗できない」とは?

ここで言う「対抗」とは、自分の権利を他者に主張することです。

つまり「善意の第三者に対抗できない」とは、(善意の第三者が取得した)権利を返すよう、元の権利者が善意の第三者に対して主張できない、という意味です。

先のA・B・Cさんの宝石の例で言えば、善意の第三者であるCさんに対して、宝石の元の持ち主であるAさんは、無償で宝石を返却するようCさんに要求できません。


善意の第三者に対抗できるかどうかは、ケースごとに民法で規定されています。

ここでは代表的なケースについて、詳しく解説します。

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第三者にあたるのは誰か、第三者が善意か悪意か、考えながら読んでみて下さい。

ケース1:譲渡禁止特約がある債権を譲り受けた(→対抗できない)

債権は譲渡人(=債権者)と譲受人が合意すれば、債務者の承諾がなくても譲渡することができます。

しかし勝手に債権を譲渡されると、債務者は返済すべき相手が分からなくなる可能性があります。


それを防止するため債権者と債務者の間で、債権譲渡を禁止する特約を設けることも可能です。

では譲渡禁止特約が付いた債権を、債権者が債務者に内緒で善意の第三者に売却した場合は、どうなるでしょう?


この場合、債務者が抗議しても、善意の第三者に対抗できません。

つまり譲渡禁止特約が付いた債権でも、債務者は善意の第三者に対して返済義務を負います。


ちなみに第三者に悪意ある場合(譲渡禁止特約の存在を知っていた場合)、譲渡そのものが無効となります。

債務者は第三者に対抗できるし(=返済義務を負わない)、債権者への返済義務を負いません。


ただし、譲渡禁止特約の付いた債権を、悪意のある譲受人に譲渡する場合の扱いが、改正民法(2020年4月施行)で変わります。

詳しくは下記をご覧下さい。

<外部の関連サイト>:民法改正(債権法改正)の重要ポイント

ケース2:虚偽表示だと知らないで土地を譲り受けた(→対抗できない)

虚偽表示は善意の第三者に対抗できない

虚偽表示とは、相手方と通じて虚偽の意思表示をすることです。

たとえばAさんが担保に入れた土地の差し押さえを逃れるために、登記を変更して一時的に土地の所有権を友人Bさんに移しました。


ただしAさんは実際に土地を譲る気がなく、Bさんも土地を譲り受ける気はありません。

お互い契約の意思はありませんが、登記上ではBさんが所有者になっています。これが虚偽表示です。


ここで問題になるのはBさんが登記上の所有権を行使して、善意の第三者Cさんに土地を譲渡(売却)した場合です。

この場合、本来の所有者Aさんは、善意の第三者(であるCさん)に対抗できません。

BさんによるCさんへの売却契約をAさんは取り消せませんし、土地の新所有者であるCさんに対して返却も要求できません。


虚偽表示による契約は無効になりますが、AさんとBさんが虚偽表示をしているとCさんに見抜くことはできません。

そのため所有者がBさんだと信じて契約をした、Cさんの権利が保護されます。

<関連記事>:カードローン審査で嘘をつくのは危険?

登記とは、ある事柄(今回の例では土地)に関する権利関係を社会に公示する制度です。

ケース3:詐欺で手に入れた物と知らずに譲り受けた(→対抗できない)

詐欺によって手に入れた品物を、善意の第三者が譲り受けた場合です。


たとえばAさんがBさんを騙して入手した宝石を、事情を知らないCさんに売却したとします。

Bさんは詐欺の被害者ですが、善意の第三者であるCさんには対抗できません。


つまりBさんはCさんに対して、「その宝石は自分の物だから(無償で)返してほしい」と主張できないわけです。


宝石を取り戻すには、Cさんにお金を払って返還してもらいます。

騙されたBさんにも多少の落ち度はあるため、詐欺の事実を知らずに契約したCさんを保護するという考え方です。

納得できない部分もあるかもしれませんが、このように善意の第三者が保護されるケースが多いです。

ケース4:強迫して手に入れた物と知らずに譲り受けた(→対抗できる)

脅迫は善意の第三者に対抗できない

他人を強迫して手に入れた品物を、善意の第三者が譲り受けた場合です。


AさんがBさんを強迫して入手した宝石を、事情を知らないCさんに売却したとします。

ケース3とよく似ていますね。しかし強迫行為によって物(・権利)を奪われた場合、善意の第三者に対抗することができます。

上の例で言えば、元の宝石の所有者であるBさんは、Cさんに対して無償での返却を要求できます。


なぜかというとBさんはAさんに強迫されて、仕方なく宝石を渡したと推測されるからです。こうした詐欺や脅迫による(Bさんの)意思表示を、「瑕疵ある意思表示」と呼びます。

詐欺の場合は(騙したAさんは確かに悪いですが)、あくまでもBさんが自分で意思決定をしています。


しかし強迫の場合、Bさんは自分で意思決定ができない状況にあったと考えられます(宝石を渡さないと危害を加える、とAさんに言われた等)。

つまり、強迫されたBさんに落ち度はありません。


そのため強迫の事実を知らない善意の第三者に対しても、自分の所有物であることを主張し、無償で返還してもらうことが可能です(民法96条3項)。

民法第96条
1. 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2. 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3. 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。


故買は善意の第三者になる?

某ゲームに「故買は善意の第三者や!」というセリフが出てきます。

故買とは「盗品と知りながら買うこと」です。現在「故買」は「有償譲受」に名称が変わっています。


「故買は善意の第三者や!」とは、盗品と知りながら購入した商品に対して、元の所有者は(無償の)返却を要求できない、という主張です。

これは、本当なのでしょうか?


実際に故買が問題となったケースを、見てみましょう。

2011年ある中古品販売店が、盗品の疑いがあるCDやDVDを十分確認せずに買い取り、14日間の中古品販売・買い取り業務の停止処分を受けました。

TSUTAYA店舗、14日間中古販売など停止処分
DVDレンタル店「TSUTAYAイオンモール日の出店」(東京都日の出町)が盗品の疑いがあるCDなどを買い取り、警察への届け出を怠った問題で、東京都公安委員会は2日、古物営業法に基づき、今月5日から18日までの14日間、同店の中古品の販売・買い取り業務を停止する行政処分を出した。


上の例は、ケース3(詐欺)の変型版ですね。

中古品を購入したお店が、その品物を盗品と知らなかったなら、そのお店は善意の第三者になります。


ですが、お店に持ち込まれた品(CDなど)が盗品の疑いが強いと知りながら、お店は見て見ぬふりをして買取をしていたようです。

盗品と知っていたら、お店は善意の第三者を主張することができません。


つまり、故買屋が善意の第三者になることは、絶対にありません。

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以上、善意の第三者について見てきました。

最初は難しく感じるかもしれませんが、考え方が分かれば様々なケースに応用できます。

特定の事実を知っているかどうかに注目して、善意の第三者にあたるか考えてみましょう。

この記事のまとめ

  • 法律用語の「善意」は、ある事実を知らないという意味
  • 善意の第三者とは契約の当事者以外で、特定の事実について知らない人のこと
  • 特定の事実を知る当事者以外の人間を、悪意の第三者と呼ぶ
  • 「対抗する」とは、他者に自分の権利を主張すること
  • 脅迫の場合を除いて、善意の第三者に対抗できないケースが多い

もぐお

この記事の執筆者: もぐお

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