【元銀行員が解説】カードローンのCM規制について

テレビで、消費者金融や銀行カードローンのCMを目にしたことがあるかと思います。

芸能人を起用していることもあり、私たちの目を引くことが多いです。


ですがカードローンのCM広告には、様々な規制が存在しています。

どのような規制があるのか、見ていきます。


消費者金融に対するCM規制、導入の背景と内容

改正貸金業法により規制強化

改正貸金業法により規制強化

2000年代には、多重債務が社会問題になっていました。

多重債務の原因は、高金利であるグレーゾーン金利で貸し付けを行っている貸金業者にあるとして、世間の批判が高まりました。


こうした批判の声に応える形で、グレーゾーン金利を違法とする最高裁判決が、2006年1月に出されました。

この最高裁判決を受け、政府も貸金業法の改正に乗り出しました。


当時、消費者金融に対しては、高金利での貸し付けだけでなく、その安易な広告表現についても批判が集中していました。

手軽さや便利さを過剰にアピールしたテレビCMは、「お金がなければ借りればいいんだ」という風潮を助長させていました。


こうした背景から、貸金業法の改正では、広告表現に対する規制強化の文言も盛り込まれました。

2007年の時点で、約1170万人が消費者金融を利用していました

貸金業法による消費者金融のCM規制

消費者金融のCM規制

2006年に成立した改正貸金業法では、大まかな広告規制が定められました。

貸金業法に違反した貸金業者は、行政処分の対象になります。


貸金業法15条・16条では、たとえば以下を表示することが義務付けられました。

・貸金業者の社名、登録番号
・貸付けの利率
・返済方式、返済期間・回数



CMの最後にびっしりと書かれているのを、見たことがある方も多いかと思います。

これらが表示されるのは一瞬なので、申し込む前には当然もう一度確認が必要です。


また改正貸金業法16条では、誇大広告の禁止が定められました。

誇大広告とは、事実と異なる表現を用いて、消費者にとって有利だと誤認させる広告のことです。


これにより、たとえば以下の文言はCM内で使用できません。

・返済能力のない人を勧誘するための説明
・借り入れが簡単だと誇張して、借入意欲をそそるような説明
・公的な年金、手当等の受給者の借入意欲をそそるような説明



ですから「無職でも借りれます」、「たったの10分で融資完了です」といった文言は、全て誇大広告にあたります。

【貸金業法第15条】
貸金業者は、貸付けの条件について広告をするとき、又は貸付けの契約の締結について勧誘をする場合において貸付けの条件を表示し、若しくは説明するときは、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を表示し、又は説明しなければならない。
一 貸金業者の商号、名称又は氏名及び登録番号
二 貸付けの利率
三 前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
2 貸金業者は、前項に規定する広告をし、又は書面若しくはこれに代わる電磁的記録を送付して勧誘(広告に準ずるものとして内閣府令で定めるものに限る。)をするときは、電話番号その他の連絡先等であつて内閣府令で定めるものについては、これに貸金業者登録簿に登録された第四条第一項第七号に掲げる事項に係るもの以外のものを表示し、又は記録してはならない。


貸金業協会によるCMの自主規制

改正貸金業法による規制を補足する形で、貸金業協会による自主規制も導入されました。

貸金業法と同じように、誇大広告についての規制が定められています。


たとえば年率5%~17%の場合に、下限金利の5%を強調するような表示は違法と見なされます。

他にも「短期間無利息サービスを行っています」のように、期間がはっきりしない曖昧な表現も違法です。


また社名や登録番号、貸付け利率のような表示必須項目は、文字の大きさなど細かい条件があります。

利率は小数点まで表示する必要があります。


テレビCMの本数や、時間帯についても制限されました。

朝7時~9時や夕方17時~22時には流さない、夜22時~0時の間は50本以内に収めるなど、厳しい規定が存在しました。

<外部の関連サイト>:貸金業の業務運営に関する自主規制基本規則

貸金業界ではCMを、1社で月100本以下としています



銀行カードローンのCM規制、導入の背景は?

上では消費者金融の広告規制が強化された背景や、その規制内容について解説しました。

一方の銀行カードローンは、消費者金融とは全く別の理由から広告規制が強化されました。

銀行カードローン利用者が急増

銀行カードローン利用者が急増

2006年に成立した貸金業法は2010年に完全施行し、貸金業者(特に消費者金融)からの借入れ規制が強化されました。

こうした規制の影響で、消費者金融の融資額は大幅に減りました。


消費者金融に代わり、利用者が急増したのが銀行カードローンです。

利用者にとって銀行カードローンは、運営母体が銀行である安心感に加え、貸金業法の規制対象外のため、借入規制が厳しくありませんでした。


2015年には融資量が初めて消費者金融を上回り、カードローンの主流は銀行カードローンに変わりました。

2011年で約3.5兆円だった融資量は、2017年には約5.5兆円まで伸びています。


銀行側も新たな収益源として、カードローンを推進するようになりました。

その背景には、2013年から始まった日銀による「量的・質的緩和政策」(異次元金融緩和策)がありました。


低金利政策によって、法人融資・住宅ローンなどの貸出金利が大幅に低下し、銀行の収益力は下がりました。

金利1%前後の住宅ローン対して、カードローンの上限金利は14%前後を維持していました。


銀行にとってカードローンの貸出金利は、非常に魅力的だったのです。

しかし収益源としてカードローンを推進する中で、過剰な貸付けが目立つようになりました。


消費者金融の審査に落ちたのに、銀行カードローンの審査に通る人まで続出し、銀行カードローンによる過剰融資問題が徐々にクローズアップされるようになりました。

過剰債務問題をキッカケに、全銀協が自主規制を発表

日弁連が2016年9月に意見書をとりまとめたのを機に、銀行による過剰融資問題に対するマスコミの批判が高まりを見せました。

NHKクローズアップ現代でも、この問題が大きく取り上げられ、銀行への風当たりは次第に悪くなっていきました。

<外部の関連サイト>:日本弁護士連合会:銀行等による過剰貸付の防止を求める意見書


世間の批判を受け、全国銀行協会はカードローンの抑制策を発表し(2017年3月)、各銀行は自主規制をスタートさせました。

収入証明書の提出義務を強化したり、融資上限額を見直すことで、審査の厳格化を図りました。


また当時の銀行カードローンについて、利用を煽るような広告表現が問題視されていました。

全国銀行協会の抑制策では、銀行カードローンの広告規制も盛り込まれました。

消費者金融の広告規制が進む一方、2016年度時点で銀行カードローンのCM本数は、消費者金融の約2倍でした



銀行カードローンのCM規制、その内容は?

借り入れを助長する表現の抑制

借り入れを助長する表現の抑制

銀行は社会的信用が高いため、銀行カードローンなら安心して借りられると考える人は多くいます。

返済能力のない人でも、安易な広告表現を信じ込んで多額の借り入れをしていました。


自主規制ではこうした安易な利用を防ぐために、「総量規制対象外」「年収証明書不要」といった表現が削除されました。

さらに「ご利用は計画的に、借り過ぎにご注意ください」という注意喚起の文言を組み込むことで、多重債務の抑制を図っています。

<外部の関連サイト>:銀行カードローンに関する全銀協の取組みについて

CM本数、広告露出を削減

広告表現の規制に加えて、CM本数自体も削減しました。

たとえば三菱UFJ銀行は、2017年4月からCM本数を月100本以下に減らしました。


規制はメガバンクだけでなく地方銀行にも広まり、CM本数は自主規制前に比べて、全体で約2割減少しました。

本数だけでなく時間帯についても制限が加えられました。


貸金業の自主規制と同水準の規制が適用され、朝7時~9時、夕方5時~10時は原則として放送が自粛されました。

さらにネット広告の数も全体で減少しており、約9割の銀行がネット広告の自主的なモニタリングを実施しています。

消費者金融と同様、子供の視聴が多いゴールデンタイムや朝に、CMを流すことを控えています

金融庁はモニタリングのみで介入せず

金融庁はモニタリングのみ

銀行カードローンへの規制はあくまで自主規制ですが、今のところ一定の成果が出ていると言えます。

金融庁の調査報告では、2017年3月時点で約7割の銀行が、「総量規制対象外」などの不適切な文言をCM内で使用していました。


ですが自主規制後の2018年1月の調査では、全ての銀行で撤廃されました。

自主規制に一定の成果が見られることから、金融庁は当面見守る姿勢です。


自主規制後は銀行カードローンの定期的なモニタリングをしています。

実態調査を行い、取り組みの進んでいない銀行に対しては改善を促す程度で、今のところ規制導入の動きはみられません。

<外部の関連サイト>:銀行カードローンの実態調査結果について | 金融庁


以上、カードローンのCM規制について解説しました。

消費者金融も銀行カードローンも広告規制が浸透したことで、過度に利用を煽るような安易なCMはなくなりました。

しかし借り入れが絶対安全というわけではありません。カードローンを利用する際は、くれぐれも借り過ぎに注意してください。

この記事のまとめ

  • 貸金業法の改正に伴い、消費者金融のCM規制が強化
  • 消費者金融では表示の必須項目が指定され、誇大広告が禁止になった
  • 銀行カードローンの利用者が急増し、銀行による過剰融資により、銀行への非難が強まった
  • 銀行は自主規制を行い、CM表現を見直したり本数を削減した
  • 銀行カードローンの自主規制は一定の成果があり、金融庁は当面見守る姿勢

もぐお

この記事の執筆者: もぐお

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